自身や身内の病気やケガ、地震や台風などの災害……、さまざまな理由で結婚式をキャンセルせざるを得ない場合があります。思い掛けないリスクがあらゆるところに転がっている現代社会は、結婚式においてもリスク管理が必要な時代ということができるでしょう。ここではリスク回避のために、契約時に確認しておきたいことや備えておきたいことなどを紹介します。
結婚式会場を契約する時には契約内容を確認しよう
結婚が決まり、会場探しをしている時期は、ウキウキと心躍るひとときでしょう。でも、会場を決定し、いざ契約!となったときには、ウキウキ気分はちょっとだけ封印。契約書をもとに、契約内容についてしっかり確認したいものです。
契約時に確認すること/契約の成立時期
会場の申し込みをする時は、いつ契約が成立するのか、はっきりした日を確認しましょう。この日がキャンセル料にも関わってくるので、あやふやにしてはいけません。
契約時に確認すること/内金について
契約をする時には、5〜20万円くらいの内金(申込金や手付金、予約金など、会場によって呼び方は異なる)を支払うことが多いようです。このお金については、どのような位置づけのものなのか、確認しましょう。具体的には、そのお金が結婚式費用に充当されるのか、キャンセルしたときに戻ってくるのかどうかなどです。
例えば、カップルは仮予約だと思ってとりあえず申込金としてお金を支払うとするでしょう。一方、会場側は正式な申し込みとして処理した場合、カップルが別の会場に変えたいから、支払ったお金を返して欲しいといっても、会場側から拒否されるというケースもあったそうよ。
契約時に確認すること/キャンセルについて
キャンセルをした場合、いつから、どれくらいのキャンセル料が必要になるのか、契約書など文書をもとにしっかり確認しましょう。
契約時に確認すること/これまでのキャンセル対応実績
台風や地震など自然災害や感染症の蔓延など、会場にもカップル側にも責任がない場合で、やむをえず結婚式をキャンセルせざるを得ないようなとき、会場側では過去にはどのような対応をとったのか、聞いておくのもお勧めです。
もちろん、同じような状況で、同じような対応が取られるというわけではありませんが、参考にはなるでしょう。
結婚式のキャンセル規定は?
結婚式のキャンセルについては、各会場で約款によって定められており、その内容は微妙に異なっています。
日本ブライダル振興協会では、各会場が約款を作成するための指針となるモデル約款を公表していますので、約款がどんなものかはこちらからご確認ください。
このモデル約款では、キャンセル料については、以下のように規定しています。
実際にキャンセルをする時には?
何らかの理由で結婚式をキャンセルすることになった場合は、すみやかに会場側に伝えることです。キャンセル料については、その内訳を確認し、契約書と異なる金額が請求されていないかどうか確認してください。
なお、キャンセル料が、会場側が受ける「平均的な損害」額を超えるものであった場合は、消費者契約法第9条1号によりキャンセル料条項の一部を無効にできる場合があります。ただし、実際に無効にするには、会場側との折衝が必要であり、もしかしたら裁判を起さなくては解決しない可能性も……。
ですから、契約時にはしっかりキャンセル規定を確認し、モデル約款を参考にして、常識の範囲内である規定かどうかをチェックしてください。
なお、会場側とトラブルになってしまった場合は、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
キャンセル時のリスクを軽減する保険
残念ながら、何らかの理由で結婚式をキャンセルするとなった場合、結婚式の実施日が迫っていればいるほど、損害額は高くなります。
たとえば、350万円の見積もりの結婚式の場合、1カ月を切った時点でキャンセルすると、日本ブライダル振興協会のモデル約款に則れば、キャンセル料は157万5000円となり、別に衣裳を外注していたりすれば、そちらの解約料も必要となってきます。これってかなりの金額ですよね。
こうしたリスクを軽減してくれるのが、結婚式専用の保険です。あそしあ少額短期保険から『佳き日のために』という名称で販売されている結婚式総合保険がそれです。
この保険では以下の理由で結婚式をキャンセルした場合、保険料が支払われます。
- カップルや家族(親、きょうだい、子ども)のいずれかが逝去
- カップルや親、子どものいずれかがが7日以上継続して入院
- カップルのいずれかが結婚式当日に入院、あるいは医師による待機指示を受ける
- カップルのいずれかが地震や台風、火事などの災害に遭い、自宅が半壊以上、または家財に100万円以上の損害が生じた
また、会場の備品や設備を壊してしまった、貸衣装を破損してしまったなど、挙式当日のトラブルに対しての補償もあります。
保険料は補償限度額に合わせて3パターンが設定されており、
- Aプラン 保険料5万円 補償限度額850万円
- Bプラン 保険料3万円 補償限度額500万円
- Cプラン 保険料1万円 補償限度額150万円
となっています。
なお、申し込みできるのは挙式45日前までです。
おめでた婚だったり、自分たちや親が健康に不安を抱えている場合などは、入っておくといいかもしれないわね。
結婚式の規模にもよるけれど、一般的な結婚式ならBプランに入っておけば安心かにゃ?
保険ではカバーしきれないリスクにはどう対応?
ただし、この保険では「結婚式の当日に台風が直撃しそうだから、結婚式をキャンセルしたい」といったケースには適用されません。
いま問題になっている新型コロナウイルスによるキャンセルにも、保険では対応できないにゃ……。
こうした場合の対応は、会場によって異なります。たとえば、延期をして定められた期日までに結婚式を行うのであれば、キャンセル料は発生しない、あるいは実費のみを支払ってもらうという対応を取るところもありますし、契約書に従ってキャンセル料の支払いを求めるというところも。
カップル側と会場側、どちらにも責任がない場合のキャンセルは、本当に対応に苦慮するところだし、今後は一定の指針が求められるところかもしれないわね。
リスクを避けるという意味では、契約時に過去の事例にどのように対応したかを聞いたり、台風が多い秋の結婚式を避けるというのが、現状では精いっぱいの対応なのではないかと考えられます。
なお、新型コロナウイルスによるキャンセルへの対応については、ウエディング業界からも新しい動きが出ています。
また、キャンセル料のトラブルの際にはオンライン調停サービスを利用するという方法も。
自分たちの責任ではなく、不可抗力で結婚式をキャンセルせざるを得なくなったのに、キャンセル料まで支払わなくちゃならないなんて、本当にかわいそう。理不尽だにゃ。
本当にお気の毒だわ。ただ、辛いのは会場側も同じ。お互いがお互いを思いやって、少しずつ痛みを分け合うことで、なんとか解決できるといいんだけれど……。
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